ECサイトの売り上げを伸ばすためにInstagramの活用を検討されている方、既にアカウントを運用している方がいらっしゃると思います。ECサイトの売り上げ増加にはアクセスを伸ばすことが重要ですが、アクセスを伸ばすための施策の中でもSNSからの集客、特にInstagramからのECサイトへの集客は有効です。

Instagram経由でのECサイトへの集客を強化するためには、ただ投稿を続けるだけではなく、明確な数値目標であるKPIを設定することが非常に重要です。

KPIとは、Key Performance Indicator（キーパフォーマンスインディケーター）の略で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。分かりやすく言い換えると、KPIとは「目標を達成するためのプロセスでの達成度合いを測るために置く定量的な指標」です。KPIを設定することでアカウントの状態を正確に分析することができ、課題発掘・施策実施へとつなげることが可能になります。

この記事では、InstagramにおけるKPIの定義や計測方法・設定方法などについて詳しく解説します。正しいKPI設定を行い、ECサイトの売り上げUPの参考にしてみてください。

ECの売上拡大のためにInstagramのKPI設定が重要な理由

まず、Instagram運営にKPI設定が重要な理由について説明します。

Instagramからの集客を強化するためには正確な数値分析が必須

Instagramアカウント経由でECサイトへの集客を強化するためには、正確な数値分析が欠かせません。Instagramの重要指標であるフォロワー数やリーチ数などは常に変化するため、KPIとして設定し目標を明確にすることで、アカウントの課題発掘や施策実施に繋げることができます。

KPIを設定し、最新の自社アカウントの状態や過去のデータからの変化を可視化できるようにしましょう。

明確な目標数値の基でPDCAを回せる

KPI設定をすることで明確な数値目標ができ、それを基にしたPDCAを回すことができます。KPI設定をしていないと起こりがちなのが、「なんとなく投稿して終わり」になることです。自社アカウントに適したKPIを設定することで、KPIを達成するためのPDCAを回すことができます。

成果を出すことが重要視される企業アカウントにとっては、KPI設定は非常に重要です。KPI設定について正しく理解し、売り上げ増加などの成果へと繋げられるようにしましょう。

InstagramにおけるKPIとは

次に、InstagramにおけるKPIについて説明します。

Instagram運用時の代表的なKPI

Instagram運用時の代表的なKPIは以下のような指標が挙げられます。

・合計フォロワー数

自社アカウントの合計フォロワー数を確認することができます。ある期間での増減やフォロワーの属性、アクティブな時間などの詳細も確認することができます。詳細については、フォロワーが100人以上いる場合のみ確認可能なので注意しましょう。

・リーチ数

自社アカウントのフィード投稿やストーリーズ投稿などを1回以上閲覧したアカウントの合計数です。インサイト画面では「リーチしたアカウント数」と表記されます。タップすると、リーチしたアカウント数のうちのフォロワーの内訳やインプレッション（同じアカウントが投稿を複数回見た場合でも回数に含まれる）などの詳細を確認することができます。

・いいね！数

自分の投稿やストーリーなどに対し、いいね！のアクションを行ったアカウントの合計数です。投稿に対し簡単にリアクションができるため、他のエンゲージメントと比較していいね！の数は多くなりやすい傾向があります。

・保存数

ある期間で自分の投稿やストーリーに対し、保存のアクションを行ったアカウントの合計数のことです。あなたの投稿を保存したユーザーは投稿内容（商品のビジュアルや説明など）を後から見返すために保存する傾向があります。

・ECサイトへの流入数

プロフィール画面経由でのECサイトへのアクセス数のことです。インサイト画面では、「外部リンクのタップ」と表記されます。

・Instagram経由でのECサイト内上のCV数

Instagram経由で自社のECサイトへアクセスし、CV（商品購入）に至った件数のことです。CV数は数ある指標の中でも特に自社の売り上げと密接に関連している重要なKPIです。

ECサイトを運営している方にとって特に重要な指標は以上になります。他にも確認可能な指標がいくつかありますので、後ほど紹介するKPIの確認方法の手順に沿って確認してみましょう。

目的別で異なるKPI

KPIを設定する際には、先程紹介した代表的なInstagramのKPIの中から自社のアカウント運用の目的に適した指標を選びます。

例えば、新商品の認知向上のために新しくアカウントを運用し始めた場合、運用目的は「認知度の向上」になります。注視するKPIとしては、多くの人に投稿が届いているかの指標である「リーチ数」やユーザーのアカウントへの興味・関心である「合計フォロワー数」が注視するKPIとなります。

このように、注視するKPIは企業アカウントの運用目的によって変化します。自社のアカウントの運用目的を明確にし、注視するKPIを決定しましょう。

InstagramでのKPIの確認方法

次に、InstagramでのKPIの確認方法を説明します。

KPIは、スマートフォンアプリ版のInstagramのインサイトと呼ばれるページから確認できます。PCのInstagramページからは確認できない仕様になっていますので注意してください。

また、表示される数値に関しては「アカウント全般のインサイト」と「投稿ごとのインサイト」、それぞれで表示されるデータが異なります。それぞれのインサイトの見方について、分けて説明していきます。

アカウント全般のインサイト

はじめに、アカウント全般のインサイトの確認方法について説明します。

まずは自社アカウントのプロフィール画面を表示しましょう。右上の横棒三本線のマークをタップし、「インサイト」のページを開くとデータが表示されます。

アカウント全般のインサイトから得られるKPIは、主に以下のようなものが挙げられます。

・合計フォロワー

・リーチ数

・いいね！の数

・保存数

投稿ごとのインサイト

次に、投稿ごとのインサイトの確認方法について説明します。

まずはプロフィール画面からインサイトを確認したい投稿をタップします。投稿ページに移動したら「インサイトを見る」をタップすると、投稿ごとのインサイトを確認することができます。

投稿ごとのインサイトから得られるKPIは、主に以下のものが挙げられます。

・リーチ数

・いいね！の数

・保存数

・ECサイトへの流入数

また、Instagramを通してECサイトを成長させていく上では、Instagram経由でECサイトへ流入したユーザーのアクセス解析を行うことも重要です。

代表的なKPIで挙げました「Instagram経由でのECサイト内上のCV数」は関しては、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールで計測するのが一般的です。Instagramの解析機能に限らず計測が可能な方は参考にしてみてください。

KPIの設定方法

ここからは実際にKPIを設定する方法を手順に沿って説明します。

KGIを設定する

まずは、KGIを設定します。KGIとは、「Key Goal Indicator」（キーゴールインディケーター）の略で、日本語訳すると「経営目標達成指標」です。KPIはKGI達成までの各プロセスの達成度を測るものであるのに対して、KGIはビジネスゴールの指標そのものを指します。

EC販売を行うアカウントの運用の場合、「月商○○○円」や「売り上げ前年比○○％増」などがKGIの例として挙げられます。自社ECサイトの過去の売り上げ等やアカウントの状態を踏まえ、KGIを設定しましょう。

KSFを設定する

KSFは「Key Success Factor」（キーサクセスファクター）の略で、日本語訳すると「重要成功要因」です。分かりやすく言い換えると、「KGIやKPIを達成するために、重要となる成功要因のこと」をいいます。

例えば、「月商100万円」をKGIとして設定した場合、「月商100万円」達成のためにインパクトの大きい要因は何かを考えるステップがこの「KSFの設定」に当たります。例えば、「新規顧客のアクセス強化」「商品の認知拡大」のような項目がKSFに当たります。

これらのKSFを明らかにすることで、KGIを達成するために注力すべき施策が何なのかを整理することができます。

KPIを設定する

KSFの設定が完了したら、KPI（目標となる実際の数値）を設定しましょう。

先程の例で説明すると「月商100万円」をKPI、特に重要である（自社の売上にインパクトが大きい・伸びしろがある）KSFを「商品の認知拡大」とした場合、設定するKPIは「リーチ数○○回」や「いいね！○○回」などKSFに紐づく指標になるでしょう。KPIを設定する際のポイントは、 期限を設け「いつまでに何をするべきか」具体的なアクションを決定することです。期限が設定されていないと、業務が後回しになってしまったり、なんとなく投稿を続けてしまったりということに繋がります。きちんと期限を設け、その期限で実現可能性の高いKPIの設定をしましょう。

また、KPI設定の際にはKPI達成のための施策も考える必要があります。ECサイトを運営する企業アカウント向けの他施策についての内容は、こちらの記事で紹介しておりますのでよろしければご覧ください。

KPIの設定方法は以上になります。KPIはただ数値を設定し確認して終わりではなく、KGIを達成するために行うステップであることを忘れないようにしましょう。

KPI設定時の注意点

次にKPI設定の注意点について説明します。自社アカウントのKPI設定をする際に当てはまっていないか確認してみましょう。

達成可能性の低い数値設定をしてしまう

KPIを設定する際に実現可能性の低い数値を設定してしまうことがよくあります。KPIを初めて設定する際に特に起こりがちな失敗です。

このような失敗を防ぐための対策としては、同じカテゴリーの商材を扱う競合のアカウントや投稿をみることが有効です。フォロワー数に差があったとしても過去投稿を遡ることで、どのくらいの期間でエンゲージメントを獲得しているかや、どんな投稿でエンゲージメントを集めているか（フォロワー獲得につながっていそうな投稿はどんな投稿か）などを知ることができます。

あくまで参考程度となりますが競合アカウントを調査することで、KPI設定の際に実現可能性を上げることができるでしょう。

KPIとKGIのズレが生じている

こちらもよくある失敗でKPIとKGIのズレが生じていることが多くあります。

例えば、ある企業がECサイトで人気商品を扱っており、Instagramで「月商100万円」というKGIを設定したとします。ところが、KPI設定をリーチ数に設定してしまい、リーチ数が向上しても「月商100万円」には繋がらないという結果に陥る、というケースがあります。

「月商100万円」をKGIとする場合、「外部リンクのタップ数（ECサイトへのアクセス数）」や「問い合わせ」の方が顧客の購買行動に近い指標でありKPIとして適切です。

このようなKPIとKGIのズレが、自社アカウントで生じていないか確認しましょう。

まとめ

本記事は以上となります。InstagramのKPIについての理解は深まったでしょうか？正しいKPI設定を行い、自社アカウントの売り上げUPに繋げてください。

自社での対策が難しい場合、Instagramサポートを専門とする企業に委託をするのも一つの手段です。弊社はInstagram運営サポートを含め、戦略設計から施策実行までInstagram事業全般をサポートしています。ECサイトをもつ企業アカウントに特化したInstagram運営サポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。