ECサイトの競合調査のやり方(見るべきポイント/役立つツールなど)
- ECサイト全般
自社で商品やサービスを販売するにあたり、ライバルとなる「競合」を知ることは売り上げを伸ばすために重要な手段の1つです。本記事では、ECサイトにおける競合調査の手法、分析ツールについて解説していきます。
1. 競合調査の目的
そもそも競合調査を何のために行うのかわからない…といった方もいらっしゃるのではないでしょうか。競合調査をする目的は企業によって異なりますが、いくつか例を挙げてみると以下のようなものがあります。
市場を把握する
競合調査を行うことで、市場に目を向けることができます。トレンドや価格など「顧客が求める商品は何か」を把握することで、既存商品の改善点や新商品のヒントが見えてきます。
商品改善のヒントを得る
自社商品の改善を行う際、市場に存在する他社商品・サービスと比較することで、データに基づいた改善内容を検討することができます。
サイト改善のヒントを得る
サイトの改善も同様に、競合サイトと自社サイトの構成やデザインの差を比較することで、データに基づいたサイト改善内容を検討することができます。
2. 競合調査全体の流れ
ここからは実際に競合調査を行う際の全体の流れを説明していきます。
2-1. 目標設定(競合調査のゴールを決める)
まずは、競合調査の目標設定を行います。例えば、ECサイトを運営している方であれば「商品ページの改善のために魅力的なページ作りを理解すること」や「売れている商品の特徴をつかむこと」などが目標(ゴール)にあたります。扱う商品やサービスなどにより大きく異なるので自社に合った目標を決めましょう。
✔ポイント
競合調査は、最初の目標設定をしっかり行わないと膨大な工数がかかってしまいます。「競合調査のゴールが分からない…」と永遠と調査を続けてしまうのは非効率的です。初心者の方や、現在明確なゴールを持たずに競合調査を行っている方は、競合調査の初めに目標(ゴール)を明確に設定しておきましょう。
2–2.競合を探す
次に、競合にあたる他社の商品・サービスを探して行きます。競合として選ぶ基準は、「同じ商品・サービスを取り扱っているサイト」を選ぶことが一般的ですが、ターゲット層が自身のサイトと類似していることも重要です。
例えば、自社でスキンケア商品を販売していると仮定します。市場にスキンケア商品を買いに来る顧客の中でも、アンチエイジングや美白など、求める「効果」によって顧客の層は大きく異なるでしょう。「自社の商品を購入する顧客をイメージし、その顧客が購入していそうな類似サイト」を競合サイトとする、というのが模範的な競合の選び方です。
✔ポイント
必ずしも同じ商品・サービスのみが競合に当たるとは限りません。「類似の顧客が利用しているサイト」などを競合として認識しても良いでしょう。
例えば、「糖質オフのパン」を販売している場合、同じ糖質オフのパンだけでなく「糖質オフのパスタ」なども類似の顧客が利用していることが予想されます。また、加えて「グルテンフリーのお菓子」や「ダイエットサプリ」など健康関連の商品・サイトも調査することで新たなヒントが見つかるかもしれません。
しかし、調べる商品・サービスの種類が多ければ多いほど、競合調査の工数も大きくなるので、自社に適したボリュームの調査を行いましょう。
2-3. 競合との比較項目を設定する
競合にあたる他社の商品・サービスを見つけたら、それらと自社の商品・サービスを比較する項目を選び設定します。例えば、以下のようなものが比較項目に当たります。
・商品価格
・送料
・レビュー
・累計販売実績
・メインターゲット層
・メディア請求
・アフターサービス
✔ポイント
これらのような項目は多くの商品・サービスに共通する基本的な項目です。これらの項目にプラスして、「顧客が商品を魅力的だと感じる項目」を設定します。
例えば、先程の糖質オフの商品を購入する顧客の場合、健康意識が高いことが予想されるので以下のような項目は「顧客が商品を魅力的だと感じる項目」に当たります。
・糖質
・糖質カット割合
・脂質
・カロリー
・食物繊維
これらは扱う商品・サービスにより大きく異なる部分なので、自社・競合商品の情報を調査し見極めたうえで設定しましょう。また、選んだ項目が適しているか疑問に思った場合は、「顧客が商品を魅力的だと感じる項目」であるかどうかに立ち返ってみましょう。顧客目線に立つことで、その項目が比較項目として適しているかどうかの判断に役立つかもしれません。
2-4. 競合調査
比較項目が設定出来たら、それを元に競合のもつ特徴を調査し整理していきます。この際に、Excel等を用いて表に整理すると良いでしょう。整理してみると、自社と競合間の差が見えてきます。これが自社商品・サービスにとっての「強み」「弱み」である特徴です。
整理のイメージ(糖質オフ商品)
自社商品と競合を比較すると、「価格が高い=弱み」であり、「糖質が低い=強み」であることが分かります。
2-5. 改善施策の検討
競合調査を終え、見つかった自社商品・サービスの特徴を施策に生かしていきましょう。目標をページ改善としている場合、自社の「強み」である特徴は表現の仕方を工夫し、より顧客に刺さる伝え方を検討します。自社の「弱み」である特徴は他社と足並みを揃える施策を行ったり、「強み」でカバーできる部分がないか検討したりします。
3. 競合調査でよく起こる失敗
競合調査でよく起こる失敗をご紹介します。事前に把握し、よくある失敗を起こさないよう心がけましょう。
情報収集の段階で止まってしまう
競合の商品・サービス情報を収集するだけでは、自社の売上改善には直結しません。競合調査の流れの最終段階である「改善施策の検討」まで行い、せっかく集めた調査内容を無駄にしない意識を心がけましょう。
設定する比較項目が多すぎる・少なすぎる
設定する比較項目が多すぎる場合、調査内容が薄くなってしまい、インパクトのある改善施策に繋げられない可能性が高まります。他社との比較項目がたくさんある場合は、前述したように選んだ項目が「顧客が商品を魅力的だと感じる項目」であるものを抽出しましょう。
設定する比較項目が少なすぎる場合、競合との差を見る指標が少なくなるので、自社の「強み」「弱み」が正確に把握できません。また、この場合は競合として選んでいる商品・サービスの情報量が少ない(参考とする競合として適していない)可能性があります。一度「競合を探す」ステップに戻り、より商品情報の充実した競合を選び直すのも一つの手段です。 商品・サービスに合った適切な量の項目を設定していきましょう。
1度の競合調査で終了してしまう
多くのECサイトをサポートさせていただいている中で、「競合調査は○か月前に一度実施しているため十分だと思っています」といったお声を聞くことがあります。市場には日々新たな競合が生まれていますし、既に調査済みの競合も新たな手を打ち進化しているかもしれません。定期的にPDCAを回して継続していく必要があります。
4. 競合調査に役立つツール・フレームワーク
競合調査を実施する際にはツールを利用することも効果的です。競合調査ツールでは調査担当者の作業を軽減するだけではなく、競合サイトのアクセス数やSEO対策状況など、外見からは取得できない情報を得ることも可能です。
また、競合調査に有効的なフレームワークも一部ご紹介いたしますので、ぜひ参考にしてみてください。
ツール紹介
SimilarWeb
競合サイト分析を行うツールの代表格のひとつです。主にチャネル分析や、シェア、オーガニックキーワードなどの分析ができます。
VALUES eMark+
自社サイト・競合サイトの分析を行うツールです。主にユーザー数やユーザー属性などを確認することができます。
Similar Sites
検索窓に自社サイトのURLを入力すると競合サイトが表示されるツールです。ただし、Similar Sitesはあくまでコンテンツの内容が似たWebサイトを見つけるツールなので、表示されるすべてが競合サイトではない可能性がある点は注意が必要です。
フレームワーク紹介
3C分析
市場の大きさや顧客ニーズを調べる「Customer(市場・顧客)」、自社の経営状況や商品・サービスの強みを調べる「Company(自社)」、競合他社との状況を比較する「Competitor(競合)」の視点で現状を把握します。3C分析では外部要因(市場・顧客・競合)と内部要因(自社)に分けて整理することができる点で有効的です。今回ご紹介した「競合を探す」、「競合との比較項目を設定する」、「競合調査」のステップでぜひ参考にしてみてください。
SWOT分析
「内部環境か外部環境か」と「プラス要因かマイナス要因か」の2×2軸で4つに分類することで、事業を取り巻く要因を整理するフレームワークです。
クロスSWOT分析表
クロスSWOT分析は、外部環境(機会と脅威)を縦軸、内部環境(強みと弱み)を横軸とし、かけ合わせた領域に対する施策を検討します。今回ご紹介した「競合調査」、「改善施策の検討」のステップでぜひ利用してみてください。
5. まとめ
本記事は以上となります。EC市場における競合調査についての理解は深まったでしょうか? 競合調査は、調査をする目的や商品・サービスの種類によって大きく異なります。調査目的を明確にし、自社の商品・サービスに適した競合・比較項目選びの下で調査を行うことで必ず有効な施策につなげられるでしょう。