【季節商材の売り方】EC市場における季節商材の売り上げの伸ばし方を解説
- ECサイト全般
ECサイトで季節商材を販売する際に、「シーズン中にもっと売り上げを伸ばしたい…」とお悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか?多くのECサイト運営をサポートさせていただいている中で、そういったお声を聞くことが多くあります。本記事では、ECサイトでの季節商材の売り上げを伸ばすための適切な販売時期や具体的な方法などについて説明していきます。
Contents
1.季節商材と季節需要について
季節商材とは、通年商品と異なり顧客の需要が特定の時期に集中する商材のことを言います。また、このニーズは季節需要と呼ばれ、季節商材を販売する際にはこの季節需要を考えて販売の計画を立てることが重要です。
EC市場と実店舗における季節需要の違い
ECと実店舗では季節需要の時期の違いがあります。同じ商材を扱う場合でもEC市場では実店舗よりも早い準備が必要です。その理由は大きく分けて以下の3つです。
・EC市場の顧客の方が商品購入検討を早い時期に始める傾向にある
実店舗ではシーズン前になると店頭に季節商材が並びだし、それを見た顧客が購入を検討します。一方、EC市場では顧客は店頭に並びだす時期に影響されずに、自分の意志で検索し商材購入を検討をし始めることができます。そのため、EC市場の顧客の方が実店舗よりも商品購入検討を早い時期に始める傾向にあります。それに合わせ、販売側の準備期間も実店舗よりもEC市場の方が早い準備が必要とされます。
・EC市場の競争が激化している
スマホの普及やコロナ禍など様々な要因からEC市場は拡大を続けています。EC市場の拡大はECサイト運営にとって追い風となりますが、その分競合となる商品も増えるのです。競合に打ち勝つための1つの要素として「販売開始の早さ」は重要であり、競合よりも早く販売を開始することで早期から購入を検討している顧客へのリーチを狙います。
・EC市場におけるターゲットは全国各地に居住している
EC市場では、商圏が全国であるために販売地域と需要のタイミングが異なる場合があります。例えば、比較的気温が暖かい地域で暖房器具を売っている店舗の場合、実店舗よりもEC市場では早い時期に需要が発生します。なぜなら、気温が下がるのが早い北海道や東北に居住している顧客が早めに購入を検討するためです。このような実店舗の販売地域とEC市場での季節需要のギャップを把握した上で、適切なタイミングに商品を展開することが重要です。
以上の理由から、同じ商材を扱う場合でもEC市場では実店舗よりも早い準備が必要になります。
販売準備の目安時期
早めの準備が必要なことは理解して頂いた上で、「具体的にいつ頃から準備を始める必要があるの?」と疑問に思った方がいると思います。結論、遅くとも季節需要の発生する2~3か月前から準備開始することが必要です。
・暖房器具の季節需要と販売準備時期(目安)
暖房器具を例にとり、季節需要と販売準備期間をカレンダーにまとめたものが以下になります。暖房器具の季節需要は10月頃から生まれるので(全国的にみて)、遅くとも7~8月には販売準備を開始しましょう。
このように自らの商材の季節需要を把握し、そこから逆算して季節需要の発生する2~3か月前に販売準備をする計画を立てましょう。
年間の季節需要
季節商材は、暖房やこたつ、クーラーなどのように地域で季節需要に差があるものだけではありません。年間のイベントや行事に紐づいた季節需要は存在します。例えば、1~3月だと以下のようなイベント・行事による季節需要が生まれます。
1月…正月、成人式など
2月…バレンタインデー、節分など
3月…ホワイトデー、お彼岸など
これらのような行事・イベントに基づく季節商材でも、売るときの考え方は同じです。その行事・イベントから逆算して遅くとも季節需要の発生する2~3か月前に販売準備をしましょう。
2.商戦期の売り上げを最大化する
ここからは売り上げをどう伸ばして行くかについて説明していきます。季節商材の売り上げを伸ばすために最も重要なことは、シーズン時の売り上げを最大化することです。売り上げを伸ばすためには、アクセス・CVR・客単価の3つの指標を伸ばしていくことが重要です。 売り上げは以下の公式によって求められます。
実際にこれらの数値を伸ばすために何をすべきか、具体的な施策を解説します。
アクセスを伸ばすための施策
まず売り上げを伸ばすためには、商品ページへのアクセスを増やすことが重要です。顧客はページにアクセスして初めて、その商品を認知し魅力を理解します。そのため、アクセス対策を実施し顧客にリーチすることは必要不可欠であり優先的に実施する必要があります。本パートでは、具体的なアクセス対策をご紹介いたします。
・競合よりも早く出品する
先程の話に紐づきますが、早い時期に出品することで競合が少ない状態で顧客を獲得することができます。最低でも2~3か月前には準備をすると前述しましたが、出品自体は早ければ早いほど競合は少なくなります。商品や商品ページの質に影響を与えない程度に、できるだけ早い出品を心がけましょう。
・商戦期に広告費を増やす
商戦期に商品ページにアクセスしてもらうためには、商戦期に広告費を増やすことが効果的です。広告費を増やすことで、リーチできる顧客ボリュームの拡大を狙います。商戦期の広告費は事前に多めに見積り、広告出稿の計画を立てましょう。
また、商戦期の手前から広告出稿を強化しておくこともお勧めです。理由としては以下2つがあります。
・競合が注力する前なので安い単価で広告出稿ができる
・(モール型ECの場合)商品が早めに売れると商戦期までに検索順位上昇が見込める
広告出稿に関して詳しく解説した記事一覧を見ることができるページのリンクはこちらです。自社のお悩みに合った記事があれば、是非読んで頂きたいです。
・SEO対策
SEO対策はモール型ECで販売している場合と自社サイトで販売している場合とで注意するべきポイントが異なるので、分けて説明していきます。
モール型ECの場合は比較的短期間でSEO対策が可能であり、アクセスへのインパクトも非常に大きいためSEO対策を優先的に実施することがお勧めです。 自社サイトの場合はモール方ECに比べてSEO対策の効果がでるまでに期間を要する傾向にあります。「SEO対策に注力したけれど効果が出る前にシーズンが過ぎてしまった…」という店舗様の声を聞くことも多く、まずは他のアクセス対策に注力して、余裕があればSEO対策も並行して実施することがお勧めです。
・SNS対策
SNSと季節商材の親和性はとても高く、アクセスを伸ばすために効果的です。理由としては、SNSの特徴である「拡散力の高さ」が挙げられます。季節商材は、限られたシーズンの中でアクセスを増やす必要があるため、SNSの拡散力をうまく使うことができれば短期的にアクセスを伸ばすことが可能です。
SNSを運用している方は、SNS広告、投稿頻度の増加、ハッシュタグの工夫、インフルエンサー起用など、自社商品が拡散される対策をしてみましょう。SNSを運用していない方は、シーズン前からアカウント育成をし、シーズン中のリーチ獲得を狙いましょう。 SNSの代表例の一つであるInstagramの運用方法(事前準備やアカウント育成について)について詳しく解説した記事がこちらです。是非参考にしてみてください。
・メルマガでの集客
季節商材のメルマガの配信は、特に昨年・一昨年に購入した顧客への配信が効果的です。商材にも依存しますが「前シーズンに購入している=今シーズンも需要がある可能性が高い」ことが予想されるので、メルマガを配信しリピーターへのリーチ・購入促進を目指しましょう。配信内容としては、「既存顧客が既に知っている情報」+「昨シーズンとは異なる目新しい情報」を意識して作成するとよいでしょう。例えば、「去年もあった○○という機能に加え今年は○○という機能があります」や「去年と同じ商品内容だけど去年購入して頂いた方は割引します」のような内容にすると購入検討を促進させることに繋がります。 また、メルマガの内容を工夫することで季節商材未購入の顧客リストへのアプローチも可能です。新規顧客は自社商品への関心があることが予想されるので、購入経験のない季節商材についてもメルマガ配信で認知してもらいましょう。新規顧客に配信する場合には、既存顧客とは異なるメッセージ性をもたせる配信をすることに注意が必要です。
・店舗内からの誘導強化
店舗内に掲載しているバナーや回遊導線を工夫し、商材が目に入りやすくなる仕組みを作りましょう。バナーに関しては、「○○特集」や「期間限定」など、顧客にとって季節感が伝わる魅力的なキーワードの選定やデザイン構築が重要です。 以下は「浴衣商材」への誘導バナーの一例になります。自社商材の季節需要、商材の情報を加味した設定を行い、顧客が店舗内を回遊しやすくする工夫をしましょう。
CVRを伸ばすための施策
ここからは、ページにアクセスした顧客を購買(CV)に繋げCVRを向上させるための施策を紹介します。先程のアクセス対策によってページに顧客を集めることと並行して、ページを見た顧客を購買(CV)に繋げるための重要な施策ですので是非参考にしてください。
・商品ページ最適化
商品の魅力を最大限伝えるページ構築をしましょう。自社商品ページは以下のポイントを押さえているかどうか見直してみましょう。
・ファーストビューは適切か
・商品画像は適切か
・ターゲットにとって魅力的なデザインであるか
・不足している情報はないか
・価格や送料は適切か
商品ページは商品を購入するかしないか判断する最も重要な材料です。顧客に商品の魅力が最大限に伝わるページ作成を心がけましょう。
また、競合商品の調査を行うことで自社商品の強みや弱みを発見することができ、商品内容の見直しをすることができます。それだけでなく、市場全体に目を向けることで「顧客が求める商品は何か」を把握でき、自社の商品に足りないものを改善することができます。競合調査についてはこちらの記事で詳しく紹介していますので参考にしてみてください。
・値引き対策(クーポン発行、セールの実施)
価格設定はCVRに大きな影響を及ぼすため、販売状況やタイミングを鑑みて値引き対策を実施することも有効です。
具体的な施策としてはまず、クーポンを発行することが挙げられます。クーポン発行は、新規顧客の獲得だけでなく、メルマガと組み合わせることでリピーターの獲得にも繋がります。季節商材の場合「早割クーポン」を発行することで市場に比べて早いタイミングでの顧客獲得にも繋がります。 また、セールの実施も施策の一つとして挙げられます。季節商品の売れ残りを防ぐために、店舗やWeb上で「在庫一掃セール」などのセールを行うことも効果的です。その際には、消費者が季節商品の需要をまだ持っている間に実施することを意識し、繰り返しになりますがその時期から逆算して準備を行いましょう。
・ギフト対応
特に季節商材は、お歳暮やお中元、父の日・母の日、バレンタインデー・ホワイトデーなどのイベント時にギフト用として購入される機会が多いため、ギフト対応は非常に重要です。具体的な対応としては以下のようなものが挙げられます。
・複数の配送先設定可能にする(複数のギフトを別宛先で発送可能にする)
・ラッピング方法や熨斗(のし)の選択を可能にする
・メッセージカードを同梱する
また、自社商品がギフト用として販売していなくてもギフト用としての需要があることもあります。ギフト対応していない場合、導入によってターゲットの幅が広がる可能性があるので検討してみましょう。
・発送期間の短縮
顧客は商品を選ぶ基準として「発送にかかる時間」も商品内容と同じくらい重視することが考えられます。特に季節商材はシーズン後に届いても需要はなく、発送期間によっては顧客の満足度を下げてしまいます。また、シーズン直前や真っ只中や終わりかけに駆け込みで購入する顧客にとっては購入手続き後すぐに手元に商品が届くことは特に購入に至る強い動機となります。季節商材を扱う場合、特に発送期間の短縮を意識して販売を行いましょう。
・レビュー対策
レビューは商品購入検討にあたり、顧客が判断基準として用いる重要な材料です。顧客にとって第三者からの評価であることから信頼性をもたれやすく、また自社にとってもサイトイメージの向上になるというメリットがあります。具体的なレビューを増やす方法としては、レビューをしてくれた方にクーポン配布やプレゼントなどを行うことなどが挙げられます。 ここで注意すべきは、レビュー対策を早めに行うことです。季節商材を販売する場合、レビュー投稿が遅くなるとページに反映される時にはシーズンが終わってしまいます。レビュー対策以外の施策にも通ずる話ですが、対策を早期から実施することで効果を上げることができます。
・購入導線の最適化
購入導線を見直すことで、アクセスしてもらった顧客が商品ページから離脱してしまうことを防ぐことができます。自社商品ページに流入し、商品検討、買い物カートに追加、決済方法選択、購入完了、この一連の流れを顧客目線に立って見直してみましょう。入力フォームの利便性や決済方法の充実度、ページ表示スピードなど顧客にとって購入を妨げる要素があれば改善しましょう。また、商品をカートに入れたが購入まで至らず離脱(かご落ち)してしまった顧客に対しては再度購入を検討してもらうためのメールを送る手段も有効です。
客単価を伸ばすための施策
ここからは客単価(顧客1人が1回の買い物で使う金額)を伸ばすための施策を紹介します。
・まとめ買いの促進
特に季節商材を扱う場合は、シーズン時に集中的に売り上げを伸ばすことが重要なため、まとめ買いの促進は効果的な施策です。扱う商品が消耗品であれば複数個をまとめて売ったり、関連商品がある商品であればそれとセットにして売ったりという工夫をしましょう。
・レコメンドツールの導入
レコメンドツールとは、商品を購入する顧客に対して追加でおすすめの商品を表示させるツールのことです。季節商材と同時に需要のありそうな商品があればおすすめ商品として表示させ客単価向上につなげましょう。
4.まとめ
本記事は以上となります。EC市場における季節商材の売り方についての理解は深まったでしょうか?
季節需要よりも早い時期(遅くとも季節需要の2~3か月前)に準備する必要があること、売り上げを伸ばすためには商戦期に売ることが特に重要な点になります。季節商材の準備時期、紹介したアクセス・CVR・客単価対策などを参考に自社の季節商材の売り上げ改善に活かしてほしいです。
また、商戦期外でも価格の見直しや、商戦期外でも商品が売れるようなコンセプト・メッセージの打ち出しにより販売を促進することも可能です。
あくまで商戦期の売り上げを最大化することを念頭に置いた上で、商戦期外での売り上げ獲得もご検討ください。
ECの売り上げ改善を専門とする企業に委託をするのも一つの手段です。弊社は季節商材の売り方だけでなく、店舗単位での戦略設計から施策実行までEC事業全般をサポートしています。主要モール型EC・自社ECサイトの全てに対応し、どんな商材・業種でも対応可能ですのでお気軽にご相談ください。